こんにちは、Niicanです。ご無沙汰してます!
最近久しぶりに読みごたえのある本を読んだので、感想を。
Contents
「邪宗門」とは
高橋直巳作、「邪宗門」
twitterの読書アカおすすめからきたのかな、、忘れたんですけど。
宗教のお話です。
宗教、戦争、恋愛、社会的弱者(障害・病気・貧困・女性)について、様々な視点から描写されます。
ひのもと救霊会という宗教に関わる人々が織りなす、一大叙事詩です。
教主の娘である阿礼(気が強い女性)、阿貴(生まれつき足が弱い身体障がい者)
東北の寒村に産まれ、救霊会に拾われた、千葉潔という少年。
彼らを中心に、ここから、物語が始まります。
見どころは現代のような、オブラートに包んだ表現がなく、ストレートなところです。
現在では差別用語になるような描写も多いのですが、誤解を招くような表現ではなく、わかりやすいです。
性描写もストレート、息を呑みます。とくに女性側からの視点もあり、リアルです。
自分のような昭和の最後に生まれたような世代には、新鮮ですね。
最近の作品って、もやもやして大事なところが抜けてるのが多いような。子供の目を気にしているっていうか。
高橋和巳先生
さて、この作者、高橋和巳先生。
恥ずかしながら、あまり聞いたことがありませんでした。
「高橋和巳(たかはしかずみ、1931年8月31日~1971年5月3日)は、日本の小説家で中国文学者。夫人は小説家の高橋たか子。中国文学者として、中国古典を現代人に語る事に努める傍ら、現代社会の様々な問題について発言し、全共闘世代の間で多くの読者を得た。左翼的な思想の持ち主ではあったが、三島由紀夫と交流するなどの人間的な幅の広さがあった。自然科学にも関心が深く、特に、相対性理論に関する造詣が深かった。癌で39歳の若さで他界した。」
Wikipediaより
只者ではありません!し、しかも年下だった、、!
宗教
自分は、日本ではごく普通の、実家には仏壇があって、お盆にはお墓参りには行く、というようなマイルドな仏教徒です。
宗教との関わりは薄く、自分の中に確固たる教えが根付いているわけではないです。
宗教って、なんとなくアブナイ人がいる、お金もってそうな、というイメージしかありませんでした(すみません)。
最近では、その自然発生してきた歴史を勉強する事が多く、興味を持つようになりました。
科学がもてはやされる現代ですが、40代になって、科学の限界、人間の限界を感じるようになりました。
この本を読んで、宗教がなぜ生まれたか、いや、生まれざるを得なかったかが、また一つわかった気がしました。
これは、救いを求める人が雪崩のように集まって、宗教が巨大勢力になるわけだ。と感じました。
そのエンターテイメント性!
筆者の知性、表現力、世界観、どれをとっても超人的といって良いと思います。
これらの壮大なテーマをこれほど考えさせられ、かつ魅力的な世界として描写できるなんて!
面白くて、一気に読んでしまった小説は久しぶりです。
改めて、感想
昔の人って(昭和初期、中期も含め)、この作者、登場人物を見て思いましたが、早熟ですよね。
現代人がしていない苦労をしている。鍛えられてますよね。強制的になんでしょうけど、
その分、精神的に参ったり、いじめられたり、悲惨な目にあっている人も多いんですけど。
明らかに潜在能力がブーストされている人が多い気がする。
現代社会って、みんな最低限の生活は保証されるけど、能力をブーストさせる必要に迫られる必要が少ないような。
受験の後は特に。
死にものぐるいの人がいないですよね。当然といえば当然なんでしょうが。
執念で仕事に取り組むような人が少ない。好きで好きで、伸びる人もいるけど、前者のような人も一定数いるはず。
仕事さえできれば、多少のコンプライアンス違反は許される、という風潮もあり、がんばった分報われていたというのもあると思います。
今はコンプライアンスもうるさいので、ますます自分をブーストして頑張る人、減ってますよね。
生々しい物語に久しぶりにひきこまれてしまいました。
次は、三島由紀夫、豊穣の海を読みます!